第174回 勝兵塾月例会レポート
公開日:2025/12/24

株式会社KBM代表取締役会長 諸橋茂一勝兵塾事務局長
勝兵塾第174回月例会が、12月18日にアパグループ東京本社で開催されました。
冒頭に株式会社KBM代表取締役会長の諸橋茂一勝兵塾事務局長は、「先日、日本の金井アジア大洋州局長が北京で劉勁松中国外交部アジア司長と協議を行っていたが、劉氏は別れ際に両手をポケットに突っ込み、金井局長を見下すような態度をとった。また、薛剣在大阪総領事が高市首相に対し『その汚い首を叩き斬ってやる』というような発言をしたが、これは立派な脅迫である。外交官特権といって身体の不可侵、逮捕されない特権があるものの、日本としても毅然とした態度を取り、例えば日本外国特派員協会に国内外のマスメディアを集め、中国側の非を咎めるような行動が必要ではないか。また過去に目を向けると、1937年12月13日に日本軍が当時の南京を陥落させた。当時は民間人を装ったゲリラ攻撃も相次いだが、日本軍ほど国際法をよく遵守した軍隊はなかった。民間人をくまなくチェックし、民間人であるという確認ができた人間には『民間人証明書』を発行していた。その記録によると、南京国際安全区の民間人人口は増え続けていた。それは日本軍が南京を制圧した後、平和がもたらされたことで避難民が南京に戻ってきた証拠である。冨士信夫先生の著書『東京裁判の欺瞞―南京大虐殺はこうして作られた』によると、極東国際軍事裁判では、裁判の管轄権について法的根拠をウェッブ裁判長すら示すことができなかった。アメリカはマッカーサーの指示により、戦時国際法(ハーグ陸戦条約)の『戦勝国が敗戦国を統治する時にはその国の法律に従わなければいけない』という決まりに違反し、東京裁判を強行したことが分かる。またそのマッカーサーですら、後に当時のトルーマン大統領に『東京裁判は誤りだった』と述べているにも拘わらず、当の日本政府、外務省、政治家がしっかりとそのことを指摘してこなかったために、我が国の国益や誇り、名誉は損なわれ続けた。高市首相になってから、日本も良い方向に着実に進んでいることは非常に喜ばしいものの、この歩みを止めてはならないと感じる。」とお話しされました。

駐日モンゴル国特命全権大使 バヤルサイハン・バンズラグチ様
駐日モンゴル国特命全権大使のバヤルサイハン・バンズラグチ様は、「2023年9月から駐日モンゴル国大使を務めている。モンゴルと日本は1972年2月に国交を樹立した。2022年に50周年を記念し、平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップを設立し、10年間の人を基盤とした行動計画の中で両国の関係性を強化している最中である。今年7月には天皇皇后両陛下が国賓として、モンゴルを1週間訪問された。ちょうど『ナーダム』という、年に1度のお祭りが開催されていて、両陛下はそのオープニングセレモニーに参加され、大統領とも会談された。モンゴル国民も熱烈に歓迎し、両国の関係がより一層深まるご訪問となった。モンゴルは発展途上国で、経済成長は毎年約5%維持、人口も毎年数%増加しており、先日360万人を突破した。一方で国土は日本の4倍ほどあり、世界一人口密度の低い国とされる。また民主化以降、政治的にも安定している。民主化して間もなく1991年に当時の海部首相が日本に留学生を受け入れることを表明したが、その3年後に私も日本に留学することができた。昨年国会議員の数が増員され126名となったが、そのうちの1割は日本での留学経験を有している。経済的には資源大国、特に銅や石炭大国であり、石炭は燃料炭やコークス炭の炭鉱にも富んでいる。また貴金属の販売や輸出も外貨の獲得に貢献している。モンゴルは行政地区が21県あり、大まかに7つの区分に分かれる。私は日本とモンゴル間の交流強化に尽力しており、例えば10月に北陸三県とモンゴルの東部三県の交流を実現させた。また現在モンゴルは、長期ビジョン2050を政策実施中で、観光分野を基幹産業にすることを目指している。観光立国を目指すにあたり、日本から学ぶ点も多い。観光できるスポットを整備し、そこを中心にホテルを建設する必要があるが、そうした点も日本との交流の中で学んでいくべきだと考えている。環境面では、ゴビ地域という砂漠化されている地域があり、その砂が黄砂として日本にも飛来しているが、その対策会議が国連砂漠化対処条約(UNCCD)第17回締約国会議、COP17として来年2026年の8月にウランバートルで開催予定であり、日本にも積極的にコミットしていただきたい。最後に歴史について、モンゴルと日本は『元寇』からの長い関係性がある。昨年、文永の役から750年として、モンゴル国大使として初めて対馬を訪れ、小茂田浜神社を訪問し犠牲者の法要に参加した。元寇に関連して、歴史もののハリウッド映画を作り、両国の文化を世界にアピールすることで、観光誘致につながらないかと構想している。」と、モンゴルの紹介や日本との関係についてお話しされました。

株式会社HAYAコーポレーション代表取締役会長 小塩一様
株式会社HAYAコーポレーション代表取締役会長の小塩一様は、「伊藤忠商事に勤務していた頃、通産省からモンゴル援助の要請を受け、三菱重工と連携し発電所の援助などを行った。そこで興味深かったのが、モンゴルには日本式の神社があり、仁王像が入口に立っていたことだ。また現地の人と宴会になり童謡を歌うと、日本と同じメロディーの曲が多くあるなど、文化的な接点が多くあることが分かった。宴会の後、テント式の『パオ』に空いている穴から見えた満天の星空がとても印象深く、多くの日本人にぜひモンゴルを訪れてほしいと思う。」とモンゴルの魅力についてお話しされました。

参議院議員、参政党両院議員総会長兼参議院議員会長 松田学様
参議院議員、参政党両院議員総会長兼参議院議員会長の松田学様は、「参政党には2020年の結党以来携わっている。国民運動を目指し、全国各地の党員が懸命に活動した成果が先日の参議院選挙での躍進につながっている。選挙では『日本人ファースト』を主張したが、外国人に対する漠然とした国民の不安意識を顕在化することができたと自負しており、そうした世論の変化が高市政権の誕生に繋がり、日本を変えるという結党目的の一つを達成したとも言える。参政党の拠る立場はズバリ『反グローバリズム』である。各国の独自性や伝統を軽視し、世界を同一化する過程で利権を得るのがグローバリストであり、かつての植民地主義や共産主義、近年では戦争を継続させようと企む軍産複合体も当てはまる。また、私はかつて旧大蔵省にて勤務していたが、90年代にはバブル後のジャパンマネーもウォール街のグローバリストによって、国内制度の改革を主導され、搾取された。結果として日本はここ30年程度、諸外国と比べて生産性の向上に実質賃金の増加が追い付いていない。こうした金融グローバリズム以外にも、脱炭素やIT、医産複合体のような利権問題が発生している。これらに対抗する『反グローバリズム』が参政党の立場であり、世界の潮流も近いものがあることは、トランプ大統領の再選や欧州の保守政党の隆盛を見ても明らかであるため、参政党は国会で反グローバリズムを主張している。経済の面では、グローバリズムに搾取されるのではなく国民へ還元する『積極財政』の推進を目指しており、片山財務大臣へも財政法4条を廃止し、必要な投資に対し国債を発行できるような改革を提案している。片山大臣は私の大蔵省時代の1年後輩にあたり、同じような境遇を持つ者として嚙み合った議論ができた。積極財政の最大のネックはインフレや為替相場の乱高下であるが、これを突破するために、国家主権によって『デジタル円』の発行とブロックチェーン技術の活用で国債残高を減らし、国民に還元する『松田プラン』を提唱している。来週、漫画家の倉田真由美氏との対談共著で『超積極財政 こうすればできる』という本を出版し、松田プランを分かりやすく説明している。今後の参政党は高市首相と近いスタンスでありながらも、与党の外側からプレッシャーをかける形で政治を変えることを目指していきたい。参政党は参議院で15議席獲得したものの、衆議院ではまだ3人しかいない。今後予想される衆議院解散、そして選挙での結果が、今後の日本を良い方向に導いていけるかの重要なステップとなるため、引き続き応援していただけると幸いである。」と参政党の活動についてお話しされました。

慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事 塩澤修平様
慶應義塾大学名誉教授・公益財団法人アパ日本再興財団理事の塩澤修平様は、「反金融グローバリズムの意見について賛成する。一方で、日本がこれまで自由貿易体制で発展してきた背景から、現在の保護関税によってその体制が歪みつつあることに関してどのようにお考えか。」と質問され、松田様は「反グローバリズムが必ずしも自由貿易を否定するものではなく、トランプ大統領の関税措置はやりすぎの面があることは否定できない。彼の理念は1913年、FRBと所得税ができる前のアメリカに経済構造を戻すことだが、近代国家として退化することになる。ただ同じ自由貿易体制であっても、経済よりも先に国家を繁栄させるという、価値観が同じ国家という前提で実施するべきであり、グローバリゼーションではなく『インターナショナリズム』、つまり国家間の関係を強化し、国家否定はやめようというのが我々参政党の立場である。」と答えられました。

英霊の名誉を守り顕彰する会会長 佐藤和夫様
英霊の名誉を守り顕彰する会会長の佐藤和夫様は、「今年は50回ほど講演会やデモ、街宣活動を行い、そのほかにも動画制作や舞台など多岐に活動した。全てを話すと10分には収まらないため、今回は9月23日の第5次国民運動として牛込箪笥区民ホールで行った、国民大集会での私のスピーチをお聞きいただきたい。」とご紹介され、当日の動画を放映しました。動画で佐藤様は、「私は元自衛官として、『防人隊』として国のために戦うことの大事さを伝えたい。防人隊は林千勝先生の思いから作った団体であるが、『戦うことに愛がない』というのは大きな間違いである。動物でも子を守るために戦うように、愛とは戦うことだ。自衛官は戦争を防ぐことを仕事にしている。私の名前『和夫』も、終戦で平和になった昭和21年に父がつけてくれた名前である。しかし一方で、戦うことこそが平和をもたらすのであり、それを実証したのが特攻である。特攻があったからこそ戦後の平和が実現しており、それを馬鹿げた戦争とする風潮は許せない。防人隊のリーダーには、拉致問題の武力解決を提唱している荒谷卓氏に就任いただいた。荒谷氏とジェイソン・モーガン氏の著書『奪われた祖国を取り戻す』にもある通り、日本は戦後、戦うことを忘れディープステートをはじめとする勢力に主権を奪われている。WHOやワクチンに関する我々の運動は、ワクチンの在庫処分や製薬会社が工場閉鎖を検討するなど効果を生んでいる。こうした運動は人助けであり、まさに愛である。私は自衛隊の人がワクチンを打たされたり、鳥インフルエンザで鳥を殺させられたりする状況が悔しくてならない。また石破前首相はビル・ゲイツと面会した際にワクチン接種の国際機関へ最大約800億円を拠出するとしたが、ワクチンを接種せずに人口が増加しているアフリカにワクチンを配布することは、日本が生物兵器の片棒を担ぐことになりかねないと私は考える。自衛隊は国民を守るために、家族を捨ててまで戦おうとしている。戦うことは決して悪いことではなく、戦ってこそアメリカの支配を撥ねのけることができる。日本人は敵というものを知らないため、ディープステートに対し戦うために、私も78になるが子や孫のためを思って社会運動を行っている。日本はいま危機的状況にあるが、戦う意味を間違えないでいただきたい。」と話され、動画視聴後に佐藤氏は、「私の話したいことがここに凝縮されている。日本はバブル経済以後、米国経済を脅かしたことで攻撃の的となった。にもかかわらず、日本国民が日本を守ることがなかったから今の危機的状況にある。」と締め、現在の危機的状況にある日本について動画を交えお話しされました。

計画哲学研究所所長・工博・元早稲田大学客員教授・新しい日本を創る会代表 三輪真之様
計画哲学研究所所長・工博・元早稲田大学客員教授・新しい日本を創る会代表の三輪真之様は、「国語が日本の保守の生命線であると考える一方で、日本が国語から崩れつつあるというテーマでお話しする。まず始めに、そもそも保守とは何か。意外にもこの問いに正面から答えられる方は少なく、特に若い世代だと思想ではなく、鉄道会社の保守管理や物流倉庫の保守管理を連想すると答えられたこともある。保守に関する私の解釈では、一番の肝となるのが先人の智恵である。先祖の智恵を大切にし、それを基に現在の状況を判断し、必要に応じて良いもの、新しいものを作ろうとする態度である。各国毎に先人の智恵は異なるため、日本には日本の保守があることになり、日本にとっての保守を確認しなければ議論を前には進められない。そこで日本の保守は、日本人の智恵が深く染み込んでいる『国土』・『国民』・『国語』・『国体』の4つを守るべきであるが、この中で近年最も蔑ろにされてきたのが『国語』である。民族や国家の特質と言語は不可分であり、それは例えばJapaneseという単語が日本語・日本人・日本らしさいずれの意味をも有することからも明らかである。それらは特に先進国では、一体のものとして考えるのが常識である。意外に知られていないが、日本と日本語の歴史は表裏一体となっている。神代と祖語、倭の時代と和語、大和の時代と大和言葉、京都の時代と国語、そして東京の時代と日本語である。和語はひと言でいうと方言であり、各地の部族が使っていた言葉である。大和言葉は和語が基となり、大和政権が成立した頃に標準語として統一されたものである。国語はその後、中国より伝来した漢語・漢字と和語を組み合わせ、当時の知識人が智恵を絞り、ハイブリッドに漢字かな混じり文として確立させたものである。表意文字と表音文字を併用している点において、西欧の先進国には類例が無い言語形態である。それが明治以降、外国語が流入したことにより、それを国語の中にカタカナ語、翻訳語として取り入れて、日本語として成立している。この中で問題になるのは翻訳語であり、憲法、権利、自由、平等、市民といった「胡散臭い翻訳語の蔓延」によって、国民から日本人らしさが奪われ、国語から日本が崩れつつある。これらの言葉は日本人の国民性に合った概念ではない。最後に日本の国語教育についてだが、漢字に音読みと訓読みがある理由や、音読みにはさらに『呉音』『漢音』『唐宋音』という区別について、小学校では全く教えていない。こうした教育が正しい国語の理解を損ねている。」と国語から日本が崩壊することに警鐘を鳴らされました。
グリーンネット予備校代表、攻玉社高等学校講師の鈴木勝明様は、「憲法や権利といった翻訳語のまん延に関して興味深く拝聴した。一方で、同じ憲法という語でも『大日本帝国憲法』と『日本国憲法』だと受ける印象が異なるのだが、これはどのように整理すればよいか。」と質問され、三輪様は「大日本帝国憲法は、日本の古典や漢籍に詳しい明治初期の法学者が日本人の国体維持について十分な知識を持ったうえで制定されている。一方で日本国憲法は、制定に関わる経緯や文章そのものも欠陥だらけであり、両者を同じような憲法と考えるべきではない。また、翻訳語は憲法だけではなく、権利も重大な弊害をもたらしている。福沢諭吉は“right”を『権利』と訳すことに抵抗を続けたが、損得だけを考えて主張することを助長し、日本の美徳に反すると危惧していた。まさにその懸念通り、義よりも利を重んずる風潮となっている。翻訳語に関しては定着が著しく、今更別の言葉を使うわけにはいかないので、教育の現場でそうした意味を丁寧に教えることが大事だと考えている。」と答えられました。

中小企業取締役兼経理部長 ポール・ドゥ・ラクヴィヴィエ様
中小企業取締役兼経理部長のポール・ドゥ・ラクヴィヴィエ様は、「小さな命を守るための活動である、『マーチ・フォー・ライフ』、命の行進運動について代表してお話しする。フランスから日本に来て一番大事だと思っているのは、家族を守り、子どもを守ることで強い社会をつくり、日本の将来につなげることである。日本の少子化は深刻であり、グローバリズムによる家庭の崩壊も進んでいる。フェミニズムや自由主義が日本の伝統的な家族制度を解体し、個人が目的を持たず孤立する社会となっている。政治も少子化に対して補助金で解決しようとするが、お金の問題ではないと私は考える。家族を作る、つまり両親になるためにはお金だけではなく、覚悟や強い意志が必要である。そのために色々な自己犠牲が必要となるが、家族を守ることで人生の糧になる。私自身8人の子どもの父だが、一つ一つの家族が強くなることで、社会そして国も強くなっていく。常識ではあるが、家族と子どもたちを大切にする社会を築き、小さな命を守ることが発展につながる。それにも拘わらず、自由主義の影響で世界的に中絶や同性愛などを肯定し、家族・子どもをつくらないような社会に変貌しつつある。マーチ・フォー・ライフはアメリカで始まった運動であり、欧米各国でも1月下旬に行われている。西洋各国の保守の基盤は命を守ることであり、そうした結婚制度を解体させるような法律や主義に反対しつつ、家族の在り方や教育、そして家族の命を守る運動である。なぜ人間が家族を大事にするか、という根本を振り返ると、3つの報いがあると考える。まずは先祖・一族への報い。自らが命をいただいた恩を次の世代に引き継ぐことで報いる。次に国のため、日本では天皇陛下に報いるために子どもを産み、強い家族を作り強い国にしていくこと。最後に信奉する神のためである。昔の人々に育まれていた孝行の精神が弱くなっている。これを強化するために日本でもマーチ・フォー・ライフを来月、1月25日に日比谷公園から実施する。政府に対して訴えるだけでなく、この活動を見た一人ひとりに中絶に対する考え方を改めていただければこの運動は成功だと考えている。微力ながらこうした活動を続けているので、少しでも多くの日本人に共感していただき、日本の将来につなげていただけると幸いである。」とお話しされました。